EBウイルス(Epstein-Barr virus)とはヘルペス科のDNAウイルスで、世界中のほとんどの成人が既感染者である。
EBウイルスは、乳幼児期には家庭内や保育所で、思春期以降では異性間の交流を中心に、唾液を介して主にBリンパ球(まれにTリンパ球、NK細胞)へ感染する。
Bリンパ球への感染は、一般的に軽症である。
慢性活動性EBウイルス感染症(chronic active EB virus infection; CAEBV)は感染症と呼ばれているが、その本態はEBウイルスに感染したTリンパ球、NK細胞の増殖症である。
本症は、発熱やリンパ節腫脹、肝脾腫、肝機能異常など伝染性単核球症様の症状を繰り返し、数年から十数年の経過で、ほぼ全例が臓器(心や肝)不全や悪性リンパ腫、血球貪食症候群、日和見感染などで死に至る、白血病より予後不良の疾患である。
EBウイルスに感染し増殖したTリンパ球、NK細胞を根絶しない限り治療は期待できない。
患者は乳幼児から高齢者まですべての年齢に分布する。また日本を含む東アジアに多いが、家族性や共通する免疫異常は見られない。約30%の患者に蚊アレルギーがみられる。
★伝染性単核球症(infectious mononucleosis; IM)
EBウイルスの初感染により起こる、一過性のリンパ増殖症。主症状は発熱、頸部リンパ節腫脹、咽頭痛である。まず頭痛、熱感、悪寒、発汗、食思不振、倦怠感などの前駆症状が数日間続く。発熱は38℃以上の高熱が1〜2週間持続することが多く、白血球(特にリンパ球)増加が特徴的である。
治療は安静と対症療法が主で、一般的な予後は良好である。(1〜3ヶ月で鎮静化する。)
★蚊刺過敏症(蚊アレルギー)
蚊刺後の強い局所反応(水疱形成や壊死、潰瘍など)と発熱、リンパ節腫脹といった全身反応を伴うものをいう。
 
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